私たちの街では、様々な紛争が絶え間なく起きています。
落ち着いた住宅地に高層のマンション、パチンコ店、大規模店舗、ラブホテルなどが建つという事態は各地で起きています。
多くの住民は、それまで落ち着いて住み続けていた街が壊れていく事態に、もう慣れあきらめてしまった観さえあります。このようなことは海外では当たり前なのでしょうか?
先進国では、このようなことはあまり考えられません。
それは何故でしょうか?それは、都市づくりの法律がしっかりしているからです。
簡単に言えば、「土地を持っているからといって勝手に建築できないこと」、「建築をするときには、都市づくりの計画に基づいて、建築の良し悪しが決まること」、「都市づくりについて住民の参加が制度として保障されていること」にあります。
国よって制度の違いはありますが、詳しく述べると次のような制度となっています。
1) | 都市には、都市づくりの方向性が「都市マスタープラン」として作成されていること |
2) | 自治体による開発や民間の建築にいたるまで、この「都市マスタープラン」に基づいて行われていること、 |
3) | 民間の建築は、基本的に許可制度となっていて、「都市マスタープラン」にあっているかどうかが問われるという仕組みになっていること、 |
4) | 情報の公開や住民の参加が仕組みとして確立していること、 |
5) | そして、これが重要なことですが、土地を持っているからといって勝手に自由に建築ができないこと、があげられます。 |
では、日本はどうなっているのでしょうか?隣に高層マンションやパチンコ店が建ってしまい日照、騒音や景観といった環境が悪くなってしまうことと、郊外地に大型のショッピングセンターが建設され渋滞が起きたりこれまでの商店街がシャッター通りとなってしまうことは、共通した問題があります。それは、「都市には誰もが守るべき共通のマスタープランがないこと」、「土地を持っていれば、全国画一的な法律にあってさえいれば、地域の環境を考えず自由に建築ができてしまうこと」制度になっていることに根本的原因があります。
このような事態に対して危機感を持った自治体は、まちづくり条例を制定して対抗していますが、しかし、この分野で地方分権が進んでいません。「法律では認められる建築を、自治体の条例で建築させない」ということは基本的に許されないことになっています。
このことをもう少し詳しく述べると、次のようになっているということです。
1) | 高層マンションや大型店の建築は、「建築確認」という制度となっており、法律にあっていれば可能で地域の環境に配慮しなくてよいこと、ましてや住民の意見を聞かなくても建築できること、 |
2) | 「規制緩和」が進み、これまで行政が行っていた「建築確認」が民間の機関でもできるようになったり、都市計画(用途地域等)で決められているルールを上回る高層の建築が可能になったこと、 |
3) | 地方分権が進んでいても、国の法律で決められている建築のルールを、自治体がまちづくり条例によりさらに厳しいルールを決めても民間の建築に対して「強制力」がなく「お願い」にしか過ぎず、民間の事業者が「法律には従いますが、自治体の条例によるお願いには従いません」と言えば建築できること、 |
4) | 自治体(市町村)が作る「都市マスタープラン」は、民間の建築に対して「強制力」がなく、結局、誰も守らなければ「絵に描いた餅」になってしまうこと、 |
5) | 自治体のまちづくりには次第に住民参加が進んできていますが、事前に情報が公開されない、手続が不透明である、住民の意見は聴くがそれは聴くだけで実際には住民の意見は反映されないこと。都市計画の分野では、議会や住民は最終的な決定の権限がないこと。 |
ましてや、民間の建築について、住民の意見を反映するための仕組みがないこと、があげられます。
提案
このような制度(仕組み)となっていることから、「美しい都市を守りたい」「良い環境を守りたい」と思っても民間の建築により街は壊され、街はどんどん醜くなり、環境は悪くなり、住み続けられなくなるのです。
そこで、私たちは、海外の都市づくりの制度を参考にして次の様な提案をします。提案① | 都市計画・まちづくりに関する地方分権を徹底し、自治体独自の条例制定権を全面的に認めること。 |
【解説】 | 地方分権が進んでいますが、都市計画法、建築基準法の分野では、国の法律が優先され、地方自治法で認められている自治体の「自治立法権=条例制定権」が実質化されていません。まちづくり条例、パチンコ店規制条例、ラブホテル条例、大型店規制条例、高層マンション規制条例等により建築を認めない措置を自治体が講じる措置について、裁判所の判断は揺れ動いています。多くの場合、最高裁判所では、建築を求めない自治体に厳しい判決が出されています。 地域のルールは地域で決める必要があります。そのためには、都市計画法、建築基準法の分野で自治体の条例制定権を全面的に認めることが必要です。
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提案② | 民間建築確認はもとより、建築確認制度そのものを廃止し、建築は自治体による許可制とすること。 |
【解説】 | 現在、建築確認の多くは、地域の実態をしらない民間建築確認検査機関により事務的に行われています。 また、建築確認という制度は、地域で起きている問題や都市づくりのあり方、住民の意見など関係なく、単に国が定める法律にあっているかどうかで建築申請が通るというものです。 この制度を変える必要があり、海外の制度とおなじように「自治体による建築許可制度」にする必要があります。 そうすることによって、自治体のマスタープランやまちづくり条例にあっている建築のみが許可され、また住民の意見がは反映できるようになります。
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提案③ | 都市マスタープランが“絵に描いた餅”に終わっている現状を改めるため、作成過程における住民参加を徹底するとともに、都市計画だけでなく、民間の開発計画もこれに拘束されるものとすること。 |
【解説】 | 現在の「市町村の都市マスタープラン」は、形式的な住民の参加により作成されること、議会の議決等決定という手続とはなっていないこと、民間の建築等は地域の将来像を描いたますたマスタープランを守る必要がないことなどの制度的欠陥をもっています。 そこで、形式的参加から実質的な住民参加を実現すること、民間の建築も守る必要があるマスタープランとすることが必要です。そのことによって、住民のまた地域の将来像を決めるマスタープランに興味を示し参加することになります。
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提案④ | まちづくりに関する一連の規制緩和策( 容積率規制や斜線規制の緩和制度など) を、抜本的に見直すこと。 |
【解説】 | 都市計画法や建築基準法では、既に都市計画法により決められている地域の建築のルール(用途、容積率、高さ制限など)を緩和できる制度が続々と誕生し、各地で紛争がおきています。そればかりでなく、歴史的な街並みや城郭等の歴史的建造物の景観を壊す開発が相次いでいます。 民間開発事業者による事業の経済性が、歴史的な街並みや名所旧跡の景観、美しい景観、居住環境、自然環境に優先するという考え方は、20世紀の考え方であり、とても21世紀の時代にあった考え方とは言えません。私たちは、一連の都市規制緩和策を改めることを求めます。 |

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